平澤もよく言っているが、リフォーム工事は新築以上に建築屋としての総合的な力量が問われることが頷ける。
その建築物をとことん知り尽くさなければ、本来の要望をコストも含めバランスよく達成することはできないと、リフォームの奥の深さを平澤はいつも口にしている。
ゼロからデザイン、設計していく新築工事に対して、リフォーム工事では、存在する空間をいかに変化させて完成形につなげるかの行為である。
コストや要望を踏まえたうえで、全体的なプランが決まっていても、解体していく中で、構造や設備等が目視できるようになると想定外のことが発生してくるのがリフォーム工事だ。
その進行の中で、最善、的確な判断がスピーディーに求められる。
完成形のカラーのイメージまで持っていける知識と経験が結果の良し悪しを決めるほどの内容となる。
まだまだ知識も経験も浅い私には、リフォーム工事は工程を含め、建築行為が「生き物」であることを改めて教えてくれる。
リフォームでは、他社が建築施工した物件の相談、依頼も多々ある。
今の家づくりと表面的には大差なく見えても、解体をして現れてきた、構造や耐震、断熱などの部分には、その建築会社の考え方がカタチとなっている。
特に、断熱には技術や工法の進歩が感じられ、住む人のニーズも昔とは変わってきているのだろうと想像する。
そして、改めて「涼温な家」が、いかに住む人にとって理に適ったつくりであるかを実感できる。
それをリフォーム工事にも注入したいと思う。
佐藤 吉行