昔、松下幸之助氏が講演会の時の質問に答えた言葉です。
多くの経済界の人達の前で、安定経営をするための話の中で、ダム式経営しなければいけない。
と話す。
経営が良い時にこそ、ダムにゆとりの水を貯めておかなければいけない。
必ず、経営が大変な時はあるはずです。
その時にでも、慌てる事なく蓄えた水を大切に使う。
よって、経営にはダムが必要です、と言うのが、有名なダム式経営の話です。
この講演終了後に、ある人が質問した。
その内容は、
ダム式経営の必要性、その考え方はわかっています。
大変な経営の中で、そのダムをどのように造ればよいのかと、我々は苦しんでいるのです。そこのところを教えて頂きたいのです。
というものです。
それに対して、松下幸之助氏は少し困った様子を見せ、次の言葉を話された。
それは、私も分かりませんのや。しかし、思わないけませんな。
その言葉に、会場に失笑がもれた。
それでは答えになっていない、と。
稲盛和夫氏は、会場の後ろでその言葉を聞き、体中に電気が走る衝撃を受けたと私達に話す。
全ての答えはその中にある。小手先の手法ではない。
何事も、思うことから始まるのである。
思いの弱い人は言い訳を口にし、すぐに諦めてしまう。
逆に大義ある強い思いは、その障害さえも当然立ち向かう道として黙々進む。
そして、次々に思いを達成していく。
全ては思うことからである。そして強く思うことである。
それが現実となる。
ふと、ダム式経営の、思うことの大切さに触れてみました。
平澤 政利