チルチルとミチルの「青い鳥」を探して旅に出る話がある。
実は今から10年前に、体感ハウスから1km程の近所で、大規模な改修工事を行なった家がある。
改修工事を行なったS様は、家づくりを失敗したくないために多くの展示場を廻られたとおっしゃる。
そして、多くの完成見学会にも出向いていた。
その間、2年という時間を費やした。
見て廻るのに疲れきり戻ってきた時に、近くにあった私共の事務所を知り、訪ねて来られた。
S様と家の話が進む。
私は、構造的にしっかりしているその家に、空気のリフォームを提案した。
構造体を大事にし、耐震補強、基礎補強も行ない、大胆なデザインの和モダンな家に仕上がった。
寒く使われていなかった二間続きの和室を、一部畳敷きの居間に変身させ、物置化していた広縁は、外の土縁と一体表現にして、家の中に暖かい外の景色をつくった。
10年を過ぎた今でも、訪ねて来た方々に高い評価を頂いているととても嬉しそうに話してくださる。
はっきりと憶えているS様の言葉がある。
それは、「2年以上も【青い鳥】を探していました。疲れて帰ってきたら、実は足元にその【鳥】がいたなんて」と・・・。
そして、「あまり近いと見えないものなんですね」と、笑って付け加えられた。
家という「青い鳥」を探しに旅に出る。
その時大切なことは、自分が求めようとするものをしっかり認識して進んでいくことです。
時には寄り道もあるかもしれませんが、ぶれない気持ちが本来求めていた家につながるものと信じております。
平澤 政利