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2019.04.23
左官職人

丸窓が外観にも内観にもアクセントとなっている和モダンのS様邸の仕上げ工事が進んでいる。

共有スペースはワラ入りの珪藻土塗り仕上げとなっている。
ワラが入ることによる微妙な凹凸が壁に陰影を与え、和モダンの落ち着きある表情を出している。

珪藻土塗りは左官工事。左官職人は建築業界の中でも特に少なくなっていると聞く。
職人の平均年齢が60歳前後とも言われていて、引退のスピードと育成のスピードが間に合わず、年々職人の数が減少しているようだ。

昔は、1人前の左官職人になるには10年もの歳月がかかり、最初の4年は鏝さえも持つことない見習い期間だったようだ。
建築材料が現在とは違い、鏝を持たなくてもやらなくてはならない作業が数多くあったことも要因の1つと言われている。

現在では、水を混ぜるだけで塗れる状態になる材料も少なくなく、昔とは状況が異なる。
こういう状況の中で、現場でベテランの作業を「見て習う」という昔のやり方ではなく、上手な人の塗り方をビデオや動画を使って真似する方法で育成する企業や協会もあるようだ。

昔ながらの技術伝承や慣習が大切な部分もある。
しかし、時代やニーズに合わせて、フレキシブルに対応していくことが、より求められいる。

現状に甘んじることなく、より高みを追求し続けることが進展の第一歩となるはずである。

平澤建築事務所
佐藤 吉行