建ててしまった人は読まないでください。ショックを受けますから。
【「いい家」が欲しい。】の本の帯に書いてある、このコメントのインパクトは大きい。
ふと見た新聞広告で、この本の存在を知り、体感ハウスへ来て下さった方がいる。
本を熟読して、本当にこんな家があるのかと気になり、県内の「いい家」をつくる会会員を探して私共にたどり着いたようだ。
新築を考えているわけではないのだが、自分の目で本物の「いい家」を見て感じたいと言われる。
数十年前に建売住宅を購入して、今に至る。
分譲地の中から、間取りや部屋数などに重きをおき、数棟の中から選んだ家。
耐震や断熱、もちろん換気などという概念は、家を検討する時には思いもしなかった。
その当時に涼温な家が開発されていたわけではないが、少なくとも、デザインなどの目に見える部分だけにとらわれて、家の本質ともいうべき「住み心地」まで考えが回らなかったのは事実だと話される。
少し悔しそうな表情と、時間の流れが、その言葉の重みを感じさせる。
多くの方が、何十年というローンを組んで建て、それ以上の期間を過ごすはずだ。
だからこそ、これからの人には、本質を見失うことなく家づくりを進めて欲しいと強く思う。
私共が空気や住み心地を大切にするように、様々なメーカーが様々な部分を売りにしてアピールしている。
断熱、気密、換気をないがしろにしない家づくりの1つの選択肢として、「涼温な家」があることを、もっと多くの人に知って頂くことも私共の使命なのだ。
建ててからショックを受ける人を無くすために。
平澤建築事務所 佐藤 吉行