建築をやっている関係か、橋の美しさには心惹かれます。
その事は時々書いていますが、橋のシルエットは力学のカタチそのものであり、全ての無駄を省かれて成り立つ美しさがある。
モーメント図がそのまま形となり、まさに構造美です。
以前、橋脚建設の技術者と話したことを思い出した。
その方は、見えない橋脚のその下に、橋の姿があると言う。
人目を惹く名のある橋には、見えない構造部分にその橋とバランスのとれた高度な技術が内蔵されている。
我々はそれを目にすることは出来ない。
しかし、それが美しさを支えていることは紛れもない事実である。
デザインと言うと、見えるところに光が当たり人々はそのスポットライトの方向に目をやる。
本当の意味では、支える力学は地味なものかもしれない。
橋に限らず、見える美しさは見えない多くで支えられている。
平澤 政利