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2016.06.03
新潟での家づくり・ツブヤキシリーズ(10)

耐震性とTlP構法

今、建物の耐震性が重要視されています。
生命、財産を守る安全は、全てにおいての原点であり、最優先されます。
更に建物への付加として、多くは個別価値観により求められていく。
その中には、健康を脅かす要素もあります。

地面の上に建つ建築物は、地震に対する安全確保をきちんと行う事になっていなければならない。
その事が建築基準法に、最低限の基準として設けられています。

全ての法律は、第一条にその法の目的が記されいる。

建築基準法をきちんと遵守しているから良いと言うだけの理念では、建物を設計し、監理して造る職業である建築士として、首を傾げるところありと考えます。

細部に渡り基準を設けて法令遵守で建物は建築されています。
それでも、大きな地震の度に被害が発生し、その対策として法改正が行われ、構造強化が折り込まれ、現在に至っている。

現行の法律を越えるような新たな工法を認めてもらうには、大手ハウスメーカー等が行っている様な大臣認定がある。
ここで、我々が耐震として行っているTlP構法の桧斜め45度の木ずり材は、地震の水平力に効果的に抵抗するものである事は、専門家でなくても理解出来よう。
しかしながら、現行建築基準法においては、板を水平に打ち付けた木ずりとしてしか見られていない。
よって構造計算の壁倍率の計算をする際の数値は、悔しい程低く耐震計算せざるを得ない。
耐震性能は高いもので有るにも関わらずです。

構造計算書、また、森林アカデミーでの大規模実物大耐力実験を幾度と行って安全保有耐力は確認されています。

数年前に、私もその実物大実験に参加、立ち会いをして、その大迫力と強さの確認を目に焼き付けた。
その夜は上西会長始め、事務局の方々等と食事とお酒を共にしてTlP構法を熱く語り合った。

ガセットプレートは裏面が金属板で補強されており、せん断力に対して力を分散しながら、引張筋交いとして初期反力として働いているのです。
同時に、柱の根元を固められ剛性が高められている。

TlP構法の柱上下端部の緑色のガセットは、土台及び桁材の横架材の剛性を、大幅に高める役目もしている。
震度4から5程度の地震では、木造在来工法において考えられないガセットを通して、引張り筋交いとして力を発揮する為の接合の役目も果たしている。
勿論、圧縮としても効いてますが、更に大きな揺れで建物の変形が大きくなった時に、本来の圧縮筋交いとして効く様にガセット部にクリアランスを設けている。

地震、台風等に対して筋交いは、一般在来工法の木造建築では圧縮筋交いとして抵抗させ、建物を安定させる役目を果たす。
巨大地震では、変形の大きさに耐えきれずに筋交いが折れてしまうことが、報告写真等で確認出来ます。

剛床ゆかとして力の流れを剛性を保ちながら、バランスよく伝える壁配置は不可欠です。
私共は必ず一棟ずつ、構造計算でその安定性を確保しながら涼温な家をつくっている。

日本TlP協会の会長であります上西氏は、東京工芸大学で教授をされているときに実物大実験を行い、その強さが一躍話題となった。

しかし現在の建築基準法では、実際の秘めたる強度が加算されないまま計算しなければなりません。
遥かに強い反力と粘りを秘めている耐震性がありながらでもです。

法律にはこの様な歯がゆい項目が、建築のみならず多々あると聞きます。

強さは等級ランク表示だけの尺度なのかと、TlP構法実物大耐力試験での強さの粘り曲線を見ながらつぶやいた。

平澤 政利