ZEHの定義は昨日のブログにも書いたように、「使うエネルギー<創るエネルギー」である。
地域区分によっての断熱性能の基準はあるが、最終的には太陽光発電によって収支がゼロかマイナスになれば良い。
今年度からは、昨年までの補助金の申請要件であった太陽光発電容量10kW未満という条件も無くなり、ますます太陽光発電の普及を国が推し進めていることが感じられる。
それなりの断熱性能でも、機械設備によってのゼロ・エネルギーにするという安易な図式が当然のように考えられる。
ZEH基準に気密性能のことは出てこない。
断熱性能とは違い、計算によって導き出されないからだろう。
年間何千棟も建てるハウスメーカー等では、一棟一棟の現場測定は現実的ではないからか。
断熱性能を上げるために、断熱材の厚みを増すことや断熱材の密度を上げることが、気密性能の向上にも繋がるという考え方なのだろうかとも疑問に感じる。
「暖かい家」は誰しもが望むことだ。
特に新潟では、多くのお客様が口にする言葉である。
暖かさに直結するのは、建物の基本的性能であり、太陽光発電でも省エネ設備でもない。
そして、多くの皆様が言われる「暖かさ」は、局所的なものではなく、温度差の無い均一的なものであるはずだ。
指定させた断熱材を指示された箇所に詰めれば良いというような単純なものではなく、気密性能や気密ラインを意識した断熱工事が無ければ、本当の「暖かさ」実現できない。
ZEH基準クリアのための計算結果の数値だけを追い求めるばかりに、単純に断熱材の厚みを増やしていくことは十分に考えられる。
本体連動して考えられるべき、気密性能や換気設備のことは無視されたまま。
結露対策は・・・?
木材の呼吸は・・・?
エネルギー収支がゼロですと言っても、その根幹となる器としての家本来がしっかり機能しなければ、本末転倒である。
まずは、基本的な建物性能を向上させることが必要だと思う。もちろん、断熱性能だけではない。
それ自体が、まさにエネルギー使用量の少ない家なのだ。
この建物性能の向上を無視して、太陽光発電による収支バランスだけを目的としたZEHでは、補助金をもらうためだけの家と言わざるを得ない。
涼しさ、暖かさ、空気の良さ、生活のしやすさ、温度差が無いことや臭いがこもらないことなど、住み心地の良さをベースにしたうえで、成り立たなければ何の意味もないのではと、平澤と熱く日々話をしながら、この涼温な家を大切につくり続けている。
佐藤 吉行