M様邸の鉄筋検査を行なう。
検査項目は、主に瑕疵担保責任保険により定められた鉄筋検査のため、第三者機関への委託も可能ではある。
しかし、配筋状況等の構造的チェックだけではなく、防蟻性能をも求める基礎断熱材の納まり等も含めて検査するために自主検査としている。
もちろん、そのためのライセンスを取得している。
住宅の基礎は大きく分けて、「布基礎」と「ベタ基礎」がある。
構造だけの話であれば、どちらが有利ということはなく、地耐力や配筋等を含めて計算することで安全を確保する。
私共の家づくりでは、全棟が「ベタ基礎+一体打ち」の工法を採用している。
構造的な観点に加えて、より安心な防蟻性能を求めているからである。
基礎外断熱は、防蟻性能を無視して施工することは許されない。
一枚のスラブ(耐圧盤)を、より合理的な力の流れを実現し、経済的な設計となるように、それをさらに区画分けしていく。
そして、一番モーメントの発生しない部分に、人通口を設けることで、安全性を確保しながら、床下の換気経路も兼用する。
必要に応じて、センターダクトからの給気ルートも、この段階で計画して、大工工事中に床下のダクティングも行なう。
四号建築物(構造計算の提出を要しない建築物)であるからといって、安全を疎かにすることは絶対あってはならない。
構造・防蟻・換気の要素を複合的に考えながら、涼温な家の基礎工事は進んでいく。
完成すると、その存在は目立つことはないが、全てはこの基礎によって支えられているのだ。
文字通り建築物の「基礎」であり、住み心地の実現のための「基礎」でもある。
佐藤 吉行