改めて何なんだと思われるかもしれない。
すべての法律の第一条には、その目的が記されている。
つまり、向かうべき方向が示されている。
【建築基準法】
第一章第一条
「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。」
昭和25年に制定されてから今日まで、多くの改正が行われた。
法に合致していれば確認申請は下りるし、瑕疵担保保険検査も勿論、図示通りであればすんなり通る。
あくまでも、設計者責任によるものである。
TIP構法について話します。
TIPの写真を見てもお分かりになると思いますが、筋交いの端部を構架材と柱にしっかり固定し、筋交いには2㎝程のクリアランスを設ける。
ガセットに打込まれた所定の本数の指定釘が、地震時に加わる荷重をせん断力として受け持つことによって、引張力に対しての耐力を考えている。(一般は圧縮筋違い)
桧斜め材(45°)で全周を包み込み、強さの中にも美しささえ感じる。
しかし、建築基準法では木ずりの斜材に関する取り扱いの項目が無く、水平に貼ったザラ板と同じ扱いしか認められず、計算上は耐力には加算されない。
つまり法改正されない限り、TIP斜め材の強度は加算出来ない。
上西会長も苛立ちをお感じでしょうが致し方ない。
現場を見た全ての人々は、その信頼性を感じるだろう。
計算上は無いはずの耐力が、更に加わる強さがそこにはある。
何故もっと普及しないかの答えはその辺にあると思う。
大手ビルダー達は国の基準を更に超えた家であることをアピールする。
当然の流れでしょう。
しかし住む人の為に、又は建物の耐久性はどうなのかが本当にベストなのだろうかという思いが捨て切れないと感じるのは、私だけだろうか。
換気回数等も法で定めてあるが、住み心地に大きく繋がるはずの外断熱・気密・換気とのトータルバランスの追及は、曖昧と言わざるを得ない。
住宅に関しては、住む人の側から見て、「国民の生命・健康及び財産の保護を図り」という目的を真に求めるべきである。
平澤 政利