平澤建築事務所では、創業以来、細かな見積書づくりがされている。
工事別に項目に分かれ、必要部分にはカタログコピー等も添えるため、数十ページとなる見積書である。
入社して間もない頃に、図面でどの線が何を表しているのか、見積書に示されている数量がどのように積算されているのか、現場で先輩から教えてもらった。
その先輩から、見積書作成のための積算作業を私がサポートできるようになり、とても助かると言ってもらったことが思い出される。
細かく数量を拾うことはもちろん作業時間がかかることであるが、そのひと手間によって、お客様が納得できる根拠となり、安心にもつながると確信している。
私にとっては、これが当たり前の作業だが、たまに1式いくらだけの見積書を見ると、その根拠性を不思議に思ってしまう。
家づくりには大きな費用がかかり、工事の種別も多岐にわたる。
だからこそ、一つ一つに透明性が求められる。
当初から詳細に明示されている見積書だからこそ、大きな変更がない限りは、そこから追加となる費用がないため、工事中も安心となるはず。
見積書表紙の総額は決して安いものではない。
しかし、それは契約を急かすための数字のトリックのない、ド真剣な勝負の表れだと思っている。
数字だけで表せない平澤建築事務所の考え方や思いまでを理解してくださるお客様方がいらっしゃることに本当に感謝です。
大筋は決まっているが、時代や情勢に合わせて、見積書自体の雛形も何度も変更してきた。
そして、記載される言葉は、専門用語になりすぎないように注意を払っている。
平澤が、お客様に対して、分かり易くどう伝えるかを真剣に考えて、「言葉」を大事にしているからだと思う。
これ無しに、お客様と建築屋の信頼は生まれないだろう。
平澤建築事務所
佐藤 吉行