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2017.04.09
ゼロエネルギー住宅は「健康住宅」なのか?

ご存じのとおり、ゼロエネルギー住宅(ZEH)は国のエネルギー政策の1つであり、2020年には建築棟数の半分、2030年には全棟をZEHにすることが求められています。
国の住宅政策のお先棒を担ぐ大手ハウスメーカー、とりわけ積水ハウスは、すでに70%を超えているそうです。
「未来の選択」を先取りしていると大宣伝している。

しかし、ゼロエネ計算は、あくまで設計上の数値合わせでしかありません。
実際の暮らしで必要なエネルギー、例えばテレビ、オーディオ、ドライヤー、レンジ、炊飯器、電気ポット、パソコン、加湿器、乾燥器、除湿器のバッテリー充電電力、防犯カメラ等々に使用する電力は除外しての計算です。
もっと問題なのは冷暖房の消費電力で、健康面へのマイナス影響が著しいとされる温度差を容認しているのです。
つまり、人がいる時にドアを閉め、局所・間欠に冷暖房することを最善とするのです。
吹き抜けを設けたり、オープンな間取りや全館空調は計算上損になります。

全室に壁付エアコンを設置し、必要な時だけチマチマ付けたり消したりが一番得することになります。
換気の良し悪しは効果ではなく、消費電力の多少で評価しますから、局所換気扇が一番いいということになります。
効果を問題にしないので、我々が大切にする気密性能も問われません。
ゼロエネになれば住み心地はどうでもいい、住む人の健康は二の次でいいと言うに等しい考えです。

ゼロエネ住宅は、正に、大量生産販売の家づくりに打ってつけであり、きわめて低次元な家づくりと言わざるを得ない。
いやいや、ゼロエネにするには断熱強化を図らざるを得ないのだから、局所・間欠冷暖房でもさほど不満にはならないよと国は言いますが、とんでもないことだ。
「涼温な家」とでは、住み心地がまるで違います。
「涼温な家」は、一部屋分の冷暖房エネルギーで家中を快適にできます。
住み心地体感ハウスと住宅展示場の家々とを、是非体感して比べて頂きたいと思う。

平澤建築事務所
平澤政利