センターダクトが設置され、排気ルートがダクティングされた涼温な家は、計画換気による空気の流れが見えるようになると思っている。
全棟、現場測定となる気密測定によって、不要な隙間がないことを数値によっても裏付けされる。
冬の隙間風に悩まされることもなくなり、また、空気の質を左右する換気においても、計画・計算された給排気を実現できることになる。
改めて、気密と換気とを連動して考えるべきだと分かるだろう。
センターダクトにより供給される空気は、気密性能が高い家だからこそ、各室の排気口によって、家中を分散して広がり、均一な空気感、温度差のない空間となる。
また、各室に排気口が設けられることで、トイレなど汚れた空気や臭いが発生した場合でも、すぐにその場から吸い込むことで、他の部屋へ移ることを防いでくれる。
センターダクトは供給する空気の流れを垂直に単純化する大きな役割があるが、住み心地の質には各室の排気口の1つ1つが、それと同等以上に大きな役割を担っている。
気密測定と同様に、現場で行なう風量測定は決して怠ることのできない重要作業なのである。
必要な風量確保のためには、法でも謳われる0.5回/hを基本とするが、これはあくまでも最低限の基準であり、生活パターンや部屋の使い方等に合わせて、微調整をしながら測定している。
末端の排気口で調整できることは大切であり、隠れてしまうダクティングにおいても、空気の分配を考慮した中での配管作業が必須となる。
空気の流れや、分配される空気量をイメージしながら風量測定を行なっている涼温な家は、本当に空気が見える家なのかもしれない。
そして、空気までデザインする家なのである。
佐藤 吉行