外構工事を残すだけとなった市内の現場にて、植栽工事を平澤と行なう。
事務所に保管してある数種類の庭木を掘り起こして、トラックに積み込み、現場へ運搬。
そして、平澤が仕入れてきた庭木と合わせて、数十本を手分けして植えていく。
平澤いわく、とても植え込みしやすい土質であるらしいが、普段デスクワークの多い自分にとっては、骨の折れる作業であった。
自分の体力のなさに不甲斐無さを感じる。
しかし、とても気持ち良い疲労感であることは間違いない。
それは、家が生き生きとしていく姿を、まじまじと見ることができるからだろう。
魂が込められていくような感覚でもある。
工事中から見慣れた姿だが、1つ1つの庭木が配置されていくと、どんどん表情が変わっていく。
全体と部分を交互に見て確認して、完成に近づいていく。
ただそこにあるのは、家までトータルで含めたイメージのみ。
微調整を加えながら、このイメージをカタチにしていく。
まるで、真っ白な大きなキャンバスに、絵を描いているかのような植栽工事であった。
佐藤 吉行